ここ数ヶ月の間、
サンタナにはまっている。
車の名前ではない。
カルロス・サンタナをリーダーとするバンドのことである。
仕事場ではサンタナのアルバムばかり、それこそ一日中かけている日もある。
「ロータスの伝説」(横尾忠則の22面体ジャケット!)というライブ・アルバムははまる前からの愛聴版で、数ヶ月に一回ぐらいは聴いていたが、はまるほどではなかった。「ブラック・マジック・ウーマン」や「哀愁のヨーロッパ」とはまるで違う混沌としたインプロビゼーションはカルロス・サンタナのミュージシャンとしての振り幅の大きさを感じさせたが、彼やそのバンドのすごさをちゃんとは理解していなかった。
きっかけは東中野にある。10月のことだ。
「キャラバンサライ」という料理屋にサンタナのアルバム
「キャラバンサライ」がかかっていた。そのアルバムは高校生当時、テープに録音して何度か聴いたことがあったが、ラテン風でないテンションの高い音楽が理解できず、ずっと聴かずにいた。あれから20年以上がたった。店でたまたま耳にしたアルバム「キャラバンサライ」にたちまちとりつかれた。ジャズとプログレとラテンが融合したような音楽がとてつもなくかっこよく聞こえた。「ロータスの伝説」のように(3枚組!)長くないので良さがビビッドに伝わってきた。
サンタナのアルバムを一通り網羅したいとそのとき強く思った僕は、秋から冬にかけて、1980年代初頭までのアルバムと1999年に出た大ヒットアルバム
「スーパーナチュラル」を一揃えした。
聴きまくった。発見の多い音楽鑑賞となった。
サンタナとしてデビューする前、サンタナ・ブルース・バンドとして名乗っていただけあって、初期はブルース色が濃い。しかし、その後はラテンをはじめとする様々な音楽の要素を取り入れる。ジャズ、プログレ、サルサ、ファンク、60年代ソウル。80年代初めにはヘビメタ風の楽曲にまで挑戦するという節操のなさ。様々なタイプの曲でアルバムが構成されているのは当たり前。
中にはおおよそ結びつきそうのないジャンルの音楽を一曲のなかにミックスしていたりもする。アルバム
「アミーゴ」(これも横尾忠則のジャケット)に入っている「ダンス・シスター・ダンス」なんて、冒頭はサルサなのに後半はプログレ風のインプロビゼーションになってしまうのだ。
そんな節操のない雑食性の音楽だというのになぜか統一感がある。カルロス・サンタナのギターの音色やフレーズがどれも似たり寄ったりだということが幸いしているのだろう。
フォロワーがいかに多いのか。そのことにも気がついた。
高中正義はサンタナそのものだから気がついていたが、カシオペアやTスクエアなど日本のフュージョン・バンドにもかなり影響を及ぼしていることがわかった。彼らのミディアムテンポのトロピカルな曲(カシオペアの「朝焼け」が典型)は、彼らが作り出したオリジナルのタイプの曲だとずっと思っていたのだが、サンタナの方が早くにやっているようなのだ。
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サンタナのフォロワーの多さを
白根全さんに話したことがある。
彼は世界で二人しかいないカーニバル評論家で、ラテンにめっぽう詳しい人だ。
「カシオペアとかTスクエアってサンタナがけっこう元ネタだったりするんですかね」
「ああ、あの辺のバンドはサンタナの家来といってもいいと思うよ」
フォロワーではなく、家来と言い切ってしまうところが白根さんの口の悪さなのだが、的は射ている。
フォロワーといえば、先週テレビを見ていて偶然発見した。
マイケル・ジャクソンの「THIS IS IT」が各局で紹介されていたが、ツアーでギターを担当するという女性ギタリストがサンタナとほとんど同じギターを使っていることに気がついたのだ。
ギタリストの名は
オリアンティ。ギリシア系(ジョージ・マイケルも確かギリシア系だ)のオーストラリア人。
インタビューで彼女はサンタナを自らのルーツとはっきり認めている。18歳の時、サンタナのステージに飛び入りしたことで、一流のプロとしての道が開けたのだという。つまり彼女はサンタナの家来というより、弟子みたいなものか。どおりでギターが似てるわけだ。


左の写真は「スーパーナチュラルライブ」のジャケット。
右の写真は「THIS IS IT」の一場面。
ギターは
ポール・リード・スミス。かつてサンタナが開発した仏陀とかいうモデルではないみたい。(仏陀はSG。SGといえばカシオペアの野呂さんのトレードマークだ)
