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軽井沢へ

今回の旅では軽井沢へも行きました。
なにもおしゃれなペンションに泊まるためではありません。
リゾートではありません。

長野~軽井沢を新幹線まで使って行ったり来たりしてまで僕らは軽井沢を訪れました。

長野で善光寺参りして帰る予定だったのですが、とすると戸倉駅から栃木県境にある軽井沢までは、長野とはまったくの逆方向。実際、このあと軽井沢から長野まで新幹線で向かい、長野から軽井沢経由で東京に戻ったのです。


なんでそんなことまでして軽井沢を訪れたのか。
それには理由があります。

軽井沢の西部に位置するとある集落を訪ねるためです。
その集落の名は大日向。
住所としては長倉となっていますが、ここに入植し開墾した65世帯の人々の誇りの所以なのか、公民館の名前は大日向のままです。

大日向と聞けば、わかる人はわかるでしょう。

昨日の記事で紹介したとおり、長野県は日本で最もたくさんの集団を満州やモンゴルへと派遣した県です。その満蒙開拓移民の象徴ともいうべき存在が大日向なんです。


昭和13年。すべての村民が食べていけるだけの食料が得られない山あいの寒村は村を二分し、満州への移民を実施します。満州に移民のために用意された農地は日本が安く買いたたき、なかば強制的に中国人を立ち退かせたもの。

その場所で大日向村から移住した村人は大した苦労もなく現地に入植、多種多量な収穫を得る豊かな生活を営みます。その影には現地人の犠牲がありました。立ち退かされた現地人は日本人農場の小作農に転落、元住んでいた村の周囲に、インフラのないぼろぼろの家に住んだといいます。

戦前、日本は国策として満蒙開拓移民を推し進めたわけです。日本政府はこの村の様子を写真や映像に収め、国内でしきりに満蒙開拓移民の成功をPRした。大日向(現在の佐久穂町大日向地区)は移民奨励のPRに利用された村だったのです。

ところが敗戦。村人は約一年間の難民生活の後、引き揚げ。もとの村に戻るも住む場所はありません。浅間山麓の軽井沢に国が用意したのが、現在の集落というわけです。当時はこの一帯は深い森となっていて、村民が団結して切り開いていきました。

戦前は開拓といいつつも、すでに開墾された場所に入植したのですから、開拓の必要はなかった訳です。ところが軽井沢では文字通りの開拓を経験したのです。

日本の高度成長と歩調を合わせるように軽井沢のリゾート地化がすすみます。苦労して切り開き、農業を営んでいた人たちは次々に離農していきます。新しい住民も次々に入植しますが、もっと割のいい職業に従事していきます。

軽井沢の二つ西の駅、信濃追分から大日向までタクシーで向かいました。



僕がお会いした坂本夫妻は大日向最後の専業農家。
一昨年、公民館の一部を開拓資料館(満州時代、軽井沢)として開館したのですが、その展示物の保存にも尽力されてきました。資料館の建設には反対多数。この地区には200世帯以上が居住しているそうですが、結局は開拓した65世帯で建設費用をまかなうことになりました。
新しい住民にとっては「昔の話なんて関係がない」という論理だとか。

しかもその65世帯の中にも「昔のことは思い出したくない」という理由で反対される方も多かったそうです。




大日向は現在、別荘が大きく進出してきています。別荘をつくるような人は日本社会の勝ち組層でしょう。彼らは社会的な成功を手にし、軽井沢に家を持つのでしょう。彼らにしても、ペンションなどリゾート関係の業者にしても同じ思いを抱いているのかもしれません。

その土地の歴史などしがらみ的なことは軽井沢で快適に過ごすための雑音でしかない、と。

それも一理あるのかもしれません。
だけどそうした人には郷土愛というものを語って欲しくはないですね。

満蒙開拓移民、引き揚げ、過酷な開墾、リゾート地化。日本の戦前から現在の縮図がここにはあります。僕が取り組むかどうかはわかりませんが、そのうちまとまった形で作品化されるべきテーマです。見逃してはいけません。


AUTHOR: えん DATE: 09/29/2007 00:35:14 >戦前、日本は国策として満蒙開拓移民を推し進めたわけです。

ブラジルなどへも行なってきたけど、
新の狙いはなんだったんでしょうね。

それにしても戦前にいったのに終戦とともにかえざるはめになるなんて、、
とんでもない混乱ですね。

記事、勉強になりました。
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プロフィール

PEREZVON(ペレズヴォン)

Author:PEREZVON(ペレズヴォン)
西牟田靖(ニシムタ・ヤスシ)
1970年大阪府生まれ。神戸学院大学法学部卒業後、フリーライターになる。近年は旅・現場・実感にこだわるノンフィクション作品を発表し続けている。著書に『僕の見た「大日本帝国」』(2005)、『誰も国境を知らない』(2008)など。NPS(Nikon Professional Services)会員。
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近年、ノンフィクションライターと見なされることの多い西牟田靖のブログ。手間をいとわず、自分の好奇心に忠実な仕事をしていきます。

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