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裏切られる食事

沼袋駅北口にある銭湯を背に数分歩き、踏切を越えたところに創業大正13年という、古いけども庶民的なそば屋がある。散歩もかねて6、7分かけて親子3人で出かけた。まわりはすっかり住宅街になってしまっても孤軍奮闘、いつも繁盛している。この店はなんどか行ったことがあり、味といいサービスといい、かなりの水準に達している。四季にあわせての特別メニューは豊富だし、和洋折衷のそば、豪華だけど贅沢すぎない定食もツボを押さえている。
1才になってから何度か子どもを連れていったこともあったので、別に子どもがいるから断られるとか、邪険にされるとか、そんなことはないと思い込み、安心して入店した。店は1組しか入っていない。いつもなら5-10組ほど入っていて、そこそこ賑わっているのだが、珍しいこともあるものだ。
対応したのは60代半ばとおぼしき3代目のおかみ。身体の線は細く性格はきつそうなのだ。でもそれは店を出た後での印象。
店に入った直後の印象は、老舗として培った手慣れた接客態度というもので、問題があるどころか、おかみに接客されることで、さらにおいしくなる。そんな印象を何となく持っていた。
「いらっしゃいませ、どこになさいますか」
「うーんどっちにしよう。。。じゃあそこの座敷にします」
2才児を抱きながら妻は答えた。
すると二つあるうちの奧のテーブルに案内された。
あとで聞いたところによると、「「手前は置物とかたくさんあるので、奧にして下さい」となんか険のある感じで言われたのよ。子どもがいるのに座敷なんてとんでもないって思ったんでしょう」とのこと。
すぐうしろにいたのだが、そんなやりとりがあったとはまったく気がつかなかった。店内で読む用の新聞とマンガを選んでいたからだ。
メニューを持ってきてもらう。
「あー寒い寒い。身体が温まる物にしよ。おでんがある。うん。これにしよう。あれ、田舎そばにするの?お、壁には特別メニューの桜エビのかき揚げそばなんておいしそう。うんこれにしよう。それと、それと後は子どもでも食べられるそば豆腐。よし決まり。すいません、注文おねがいします」

注文、相次ぐ配膳、会計、そして水の追加。
サービスを受けるごとに妻の表情が、疲れ切ったときのピリピリしたものにかわり、僕に対して不満をぶつけだした。原稿が詰まってて忙しい中、朝に病院、午後に整体と時間をとったにも関わらず、この仕打ちはないだろと、次第に僕も不機嫌になった。
「マンガなんか見てないで、ちゃんと、(子ども)みといてよ」
「ちゃんと見てるやろ。なんやちょっと目を話しただけなのに」
むかっと来て、読み終えたばかりの「ゴルゴ13」をテーブルに乱暴に置いた。
近くに座っていたカップルがびっくりしていた。

会計を済ませて、店を出ると、妻は急に語り出した。
「入ったときから、おかみさんがピリピリしてたのよ。座敷汚したら何要求されるか分からない。だから一刻も早く出たかったの。最初っから子ども断れば良いのに何を考えてるのか。盛りそば頼んだのにそば湯出さなかったでしょ」
それを聞いて、なるほどと思った。
お膳を無理矢理客に場所を空けさせたのは正直不快だった。それに最後の水は3人いるのに1杯しか来なかった。妻はおかみのネチネチとした接客を警戒し、過度にイライラしていたということらしい。
納得し、二人とも憑き物が落ちたように冷静になった。
今までは、サービス面でも安心していたのに、どうしちゃったのだろうか。
裏切られたような感じがしてすごく後味の悪い食事となった。
味は天下一品だが、もう二度と行かない。
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プロフィール

PEREZVON(ペレズヴォン)

Author:PEREZVON(ペレズヴォン)
西牟田靖(ニシムタ・ヤスシ)
1970年大阪府生まれ。神戸学院大学法学部卒業後、フリーライターになる。近年は旅・現場・実感にこだわるノンフィクション作品を発表し続けている。著書に『僕の見た「大日本帝国」』(2005)、『誰も国境を知らない』(2008)など。NPS(Nikon Professional Services)会員。
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近年、ノンフィクションライターと見なされることの多い西牟田靖のブログ。手間をいとわず、自分の好奇心に忠実な仕事をしていきます。

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