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遺書

98年、タリバーン時代のアフガニスタンに行ったことがある。

現在のイラク同様、僕が行こうとしていたときのアフガンには外務省から退避勧告が出ていた。内戦はほぼ終わっているようだったが、偶像崇拝を徹底的に禁止するタリバーンのやり方は予想がつかず、何が起こってもおかしくないと予想がついた。

そんなわけで、行く前は、死を覚悟していた。行かない、という選択肢は頭の中にはなかった。命を天秤にかけてでもアフガンには行ってみたかった。

とは言ってもやれることはしておいた。まさかのときのため、遺書をしたため、信用のできる先輩に渡しておいたのだ。

「僕が帰ってこなかったら、これ親のところに送ってください」

親には「タイに行ってくる」と行き先を偽っていた。はっきりと行き先を告げると泣いて止められることがわかっていたからだ。

現地では怖い思いもした。タリバーンの警察に連行され、取り調べでカメラを見つかってしまい、
「死ぬまで鞭打つ」
と言われたときにはもはやこれまでかと弱気になってしまった。

幸い、無事に日本に帰ってきて、その遺書は使わずに済んだが……。






イラク邦人誘拐事件というのが起こったが、人ごとだとは思えない。遺書の件以外にも理由がある。知り合いのフリーの人間にはイラク取材を重ねている人間が多いというのもあるし、状況次第では見に行っていた可能性もあるからだ。

僕がアフガンに行くにあたっては、誘拐されて今回のようなことになるようなことは想定していなかった。電話すらまともにない、世界から忘れられた国だったし、日本を憎む理由などそのときは考えられなかったからだ。それにそもそもアフガン人が日本のことを知っているとも思えなかった。

万が一もしそうなった場合でも日本に捜索してもらおうとか、交渉してもらおうとかそんなことは考えなかったと思う。そんなことを思っていたのなら遺書なんて最初から書かない。

たぶん、あの三人も同じような決心があったのではないかと思う。一番若い今井くんは渡航直前、仲の良い友達に危険を承知で行くということを涙ながらに電話したと言うし、郡山くんは取材前に二ヶ月工事現場で働いていて、この取材が上手くいかなかったらカメラマンを辞めると言っていたという。

そんな彼らが、交渉してほしい、とかそんな生半可な考えを持っていたとは思えない。

ネット上では「自業自得」とか「迷惑かけるな」とかそんな声があちこちで聞こえるが、だからといって「行くべきではなかった」とは思わない。

安全なタイミングを見計らったり、安全な手段をとる必要があったとは思う。だが、命を天秤にかけてまでやりたかっただろうことを、他人のつまらないアドバイスで貶められる理由などない。

それに、高遠さんのように危険を承知でも活動をする、その立派な精神がなぜ貶されねばならないのだ。

一方、親御さんたちは確かにみっともない姿をさらしていると思う。だが、その気持ちはわからないではない。うちの親がその立場だったら間違いなく同じようにしたはずだろう。どうやっても助けてもらいたい、というのは自然な感情だ。

日本政府としても親御さんたちから要請がなかったとしても動かざるをえなかっただろう。

自衛隊撤退という要求が絡んでいたのだから、今回彼らの身になにかがあれば小泉政権は吹っ飛んでいたかもしれない。自衛隊を撤退させずになんとか交渉で解決しようと思っていたはずだ。

自衛隊派遣には個人的には反対だ。だがそれに真っ向から反対するのもどうかと思う。「宗主国」がバカだとはいえ、ある程度歩調を合わせないと「属国」は生きていけないからだ。



追伸:……解放情報は誤報だったみたい。

追伸2:高遠さんは友達の友達だということが判明した。また郡山くんは我が家のそば、高円寺南在住だという。奇遇だ。

TITLE: 人質になった3人への日本の「世間」の反応 URL: http://www.doblog.com/weblog/BlogServlet?userid=4558&blogid=150226#150226 IP
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プロフィール

PEREZVON(ペレズヴォン)

Author:PEREZVON(ペレズヴォン)
西牟田靖(ニシムタ・ヤスシ)
1970年大阪府生まれ。神戸学院大学法学部卒業後、フリーライターになる。近年は旅・現場・実感にこだわるノンフィクション作品を発表し続けている。著書に『僕の見た「大日本帝国」』(2005)、『誰も国境を知らない』(2008)など。NPS(Nikon Professional Services)会員。
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近年、ノンフィクションライターと見なされることの多い西牟田靖のブログ。手間をいとわず、自分の好奇心に忠実な仕事をしていきます。

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