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使い続けた物にまつわる記憶 その2

一方、僕の目であり、記憶を補助し、表現をしてくれる、パソコン並みに僕の体の一部となっているもの。それがカメラだ。日本津々浦々、そして世界中に出かけたときの瞬間瞬間を切り取る。メモ変わりに写真を撮る。撮ったものを整理し、文章と組み合わせて表現する。カメラなくしては僕の今までの行動は語れないし、カメラを持って行かなかった旅はない。撮影が禁止されていたタリバーン政権下のアフガニスタンでさえ、カメラを手放す気は全くなかった。

カメラは僕の目であり、記憶の一部である。そこにいたという存在を証明してくれる代弁者だし、現場をともにした仲間でもある。どの機材も愛着がある。パソコンを売ったら両腕をもがれる様な行為と書いたが、同じようにカメラを売るとしたら、それは大同小異、両目をくり抜かれるような気持ちになるだろう。

物は捨てない方だ。ある一定期間、一緒に過ごすと僕の魂がこもるような気がするからだ。魂は大げさにしても記憶はそこに刻まれる。記憶を紡ぎ出して表現するという仕事をしているから、というのも理由なのかもしれないが、使い捨ての物でない限りなるべく物をとっておくようにしている。

しかし、カメラはパソコンに比べて場所をとる。デジタル化の波に乗り、僕の使用する撮影道具はここ数年ほとんど一眼レフデジタルのみとなった。去年、一眼デジカメのボディと広角レンズを購入して以来、カメラ収納スペースである防湿箱に機材が入り切らなくなり、困っていた。カメラだけに限ったことではないが、残したいという気持ちと整理したい、部屋を広く使いたい、という気持ちが僕の心の中でせめぎ合っていて、売りに出そうと思ったときは後者の気持ちがやや勝っていた。

それぞれのカメラに僕の記憶が刻まれている。あってもなくても良いような日用品に比べて愛着が強いのは間違いない。だが、記憶に拘泥しすぎるのも前向きではない。時代は変わっていくものだし、僕も変わっていかなくてはいけない。

結局、残したい、という気持ちよりも、変わって行かなくては、整理しなくては、という気持ちと収納スペースの許容量が越えていると現実が勝った。そこで、使わなくなったフィルムカメラを中心に売ることにした。とはいえ仕事を始めた当初から使い、数々の現場をともにしたnewFM2は思い入れが特に強いので最初から売る気はなかった。このカメラのはがれた塗装を見ただけでいろんな記憶がよみがえってくる。そのカメラで覚えたマニュアル撮影技術は今後も維持したいし。また一眼デジカメと共用できる、それぞれに思い出のこもったレンズ群の大半も売る気はなかった。

大部分のレンズは共用できるが、ボディは使わない。特殊なレンズも使わない。たとえば300mm単焦点レンズはデジタルでは450mm換算となるため、手に余るようになったのだ。そうして今回、売ることにしたのは、デジタル化が進み使わなくなったオートフォーカスの一眼カメラのボディ(F100とF90X)や望遠レンズ(300mmF4、85mmF1.8ほか)、ストロボ(SB26、SB28)。

中野にあるフジヤカメラでそれらを売った。7万円すこし。数十万借金をし、暗い気持ちになりながらも買ってしまったカメラ、最初の本を書くためのアジア横断の際、FM2同様4ヶ月間肌身離さず持ち歩いていたカメラ。売りに行く道中、防湿ケースの中の整理ができたという達成感が勝っていたが、カメラ屋で査定してもらい、お金を受け取ったとき、僕の手元から離れていく名残惜しい気持ちがにわかにわき起こった。しかし、得たお金で新しいストロボを手に入れると、名残惜しさよりも、ストロボに対しての期待や興味で頭がいっぱいになった(さらに続く)。


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プロフィール

PEREZVON(ペレズヴォン)

Author:PEREZVON(ペレズヴォン)
西牟田靖(ニシムタ・ヤスシ)
1970年大阪府生まれ。神戸学院大学法学部卒業後、フリーライターになる。近年は旅・現場・実感にこだわるノンフィクション作品を発表し続けている。著書に『僕の見た「大日本帝国」』(2005)、『誰も国境を知らない』(2008)など。NPS(Nikon Professional Services)会員。
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近年、ノンフィクションライターと見なされることの多い西牟田靖のブログ。手間をいとわず、自分の好奇心に忠実な仕事をしていきます。

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